極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 先にお風呂を済ませた香奈は、広々としたリビングの長いソファに座り、変わらず光を放つ夜の景色に見入っていた。
 バスルームもそうだったが、どの部屋もビクトリアハーバーに面し、窓から開放的な景色が見える。
朝にはどんな光景を見せてくれるのだろうか。期待値はどんどん大きくなる。

(こんな素敵なところに連れてきてもらえるなんて、海里さんに感謝しなくちゃ)

なにをするでもなく窓の外を眺めていると、お風呂から上がった海里が現れた。
Tシャツにハーフパンツというラフな格好の新鮮さと、まだ少し濡れた髪をタオルで拭う姿にドキッとする。香奈の隣に腰を下ろした彼から、バスソルトの香りがふわりとした。
無自覚に漏らしている男の色気にどぎまぎして、目があちこちに泳ぐ。


「飲むか?」


 海里は手にしていた二本のミネラルウォーターのうちの一本を香奈に差し出した。


「ありがとうございます」


 遠慮なく受け取り、キャップを開ける。ほどよく冷えた水が喉から胸を通っていくのを感じるほど、体が火照っているらしい。眺望のいいバスルームが心地よくて、普段より長風呂をしたせいだろう。
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