極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 本は持参していないが、電子書籍ならスマートフォンにたくさんダウンロードしてある。
 香奈はバッグからスマートフォンを取り出してアプリを開いた。

 選んだのは香奈お気に入りの散文詩集である。朗読するなら、わかりやすくてイメージしやすいものがいい。


 「それじゃ俺も」


 海里はいきなり香奈の膝の上に頭を乗せた。


 「えっ!?」
 「読み聞かせと言えば膝枕だろう」
 「そ、そんな話、初めて聞きましたけどっ」


 驚いて声が上ずった。


 「それなら覚えて。俺はこの先ずっと、香奈の朗読を膝枕で聞くから」


 寝転んだ海里が香奈を見上げ、いたずらっぽく笑う。〝この先ずっと〟という言葉に、香奈が密かに胸を高鳴らせたのも知らずに。
 そう言われれば首を横には振れない。


 「オッケー?」
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