極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 「それじゃ遠慮なく」


 海里は起き上がり、香奈の肩を引き寄せた。
 頬にもういっぽうの手を添え、ゆっくり顔が近づく。スローモーションのように感じるのは、これまでのキスに前触れがなかったせいかもしれない。
 唇が触れ合う寸前、目を閉じた。

 ゆっくり三秒重ね合わせた唇が、優しく食まれる。想像以上にやわらかい感触を覚えながら、彼にされるがまま。海里とキスしている事実が香奈をふわふわとした心地にさせるくせに、心拍数は上がっていく。唇を割って彼の舌が入ってきたときには、鼻から甘ったるい吐息が漏れた。


 「んっ……」


 キスが深くなるにつれ、柚葉の存在も薄れていく。


 「まだだ。もっと舌を出して」


 言われるままに舌を延ばす。触れ合うほどに海里との距離が縮まり、ふたりの仲が深まっていくよう。彼に愛されていると錯覚するくらい、甘いキスに没頭した。
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