極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 翌日、香奈が目覚めたのは十時を回った頃だった。
 バスルームとトイレまで完備した快適なゲストルームで着替えを済ませてリビングへ行くと、海里はキッチンでコーヒーを淹れていた。まだぼんやりする頭を覚醒させるいい香りだ。

 濃厚なキスをした照れくささを振り払い、声をかけながら彼のもとへ向かう。


 「海里さん、おはようございます」
 「おはよう。よく眠れたか?」
 「はい、おかげさまで」


 海里が香港を案内してくれると言っていたから、もう少し早く起きるつもりだったが寝過ごしてしまった。
 でもそれも無理もないだろう。昨夜ベッドに入ったのは午前二時まであと少しだった。キスの感触が頭から離れず、なかなか寝つけなかったせいでもある。
 もしかしたらこのまま体の関係も……と覚悟もしたが、海里は香奈をゲストルームに案内。ふたりは別々の部屋で朝を迎えた。


 「夜這いしようとしたが、香奈にやっぱり結婚しない!って言われたら困るからやめておいた」
 「い、今さらそんなことは言いません」


 思わず本気で否定してしまった。やる気満々に見えたかもしれないと激しく後悔すると同時に、恥ずかしさで顔が熱くなる。
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