極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
「期待して待ってます」
「プレッシャーをあまりかけるな」
「自信満々に言ったのは海里さんですから」
「たしかに」
海里はクスッと笑いながら、「よし、完成」とふたつのカップにコーヒーを注いだ。
(よかった。海里さん、いつもと変わらない)
昨夜のキスが、ふたりの間にぎこちない空気をもたらすものではなくてホッとした。
彼の淹れたおいしいコーヒーを飲み、ガレージに止められていた車に乗り込む。海里の運転で車は発進した。
「海里さんは、世界各地に自宅があるんですか?」
「会社がある場所にはだいたいね」
「どこもここみたいな豪邸?」
美術館の様相を呈した自宅は、ビクトリアハーバーを見下ろす好立地からも高級物件なのは一目瞭然だ。周りの建物もハイグレードのマンションや、邸宅と呼ぶにふさわしい家ばかりである。
「マンションだったり一軒家だったり、いろいろだな」
「車も?」
「まぁそれなりに」