極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
ほどなくして車は、香港島の最南端に位置するリゾート地、スタンレーに到着した。
海里によると、ここにはたくさんの欧米人が暮らしているという。
車から降りると、リゾート地特有のゆったりとした空気が流れており、絵のように美しい街並みが広がっていた。
「行こうか」
海里は、香奈の手を取り歩きだす。手を繋いだ事実に気づくのが遅れるほど、自然な流れだった。
指を絡められてドキドキするいっぽうで、大きく逞しい手に安心感を覚えながら歩く。
ウォーターフロントマートにあるビーチの見えるレストランで飲茶のブランチを食べ、その後は海里お勧めのスタンレーマーケットに案内された。
狭い通りの左右にぎっしり、様々な店がひしめき合って並んでいる。中国系の雑貨や服飾、アクセサリーなど、どこから見たらいいのか迷うほど。雑多な感じがワクワクする。
「あのお店に寄ってもいいですか?」
「もちろん」
海里の手を引き、先頭に立って店の中に入る。中国茶器がずらりと並んだ店内には、ほのかにお茶の香りも漂う。