極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 要は花嫁修業をしておけと言うのだろう。
 父と結婚して専業主婦になった母を見ていれば、夫を支えるのはとても大変だし、大切なことだとわかっている。それだって立派な仕事であるのも。でも……。


 「あまり乗り気じゃない顔だ」
 「じつは私もやりたいことがあるんです」


 海里はわずかに目を見開いた。


 「詳しく聞いても?」
 「図書館で司書として働きたいんです」
 「本が好きなのか」
 「大好きです」


 書庫が必要なほどと言っては大袈裟だが、自宅にはたくさんの本があり、気に入った作品は何度も読み返す。ジャンルを問わずに読み漁り、どれも違ったおもしろさがあるためやめられない。


 「それなら出版社の道もあるだろうって考えるのは安易か? なにか理由が?」
 「本が好きだからという理由だけじゃないんです。幼稚園のときに遠足で初めて図書館に行ったんですけど、そこで読み聞かせをしてくれたお姉さんがとっても輝いていて」
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