極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
海里はにっこり笑って香奈の頬を撫でた。
丁寧に梱包してもらった紙袋を提げ、店をあとにする。
「海里さん、中国語すごく上手ですね」
「お褒めに預かり光栄です」
仰々しく胸に手をあて、海里がおどける。
「ほかには何語が話せるんですか?」
「そうだな、フランス語とイタリア語を少し」
海里の言う〝少し〟は、たぶん意味通りのそれとは違う。きっとペラペラだ。
「どうやったらそんなにたくさん話せるようになるんですか?」
「その国に行って仕事をすれば、否応なしに話さざるを得ない」
たしかにそうかもしれないが、英語だけで済まそうと思えばできる。敢えてそうしないのは、海里の性格上だろう。味の出し方に興味を持った料理も極めるくらいだから。
「さすがですね」
「俺との結婚を決意してよかっただろう?」