極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 「外国語が堪能なのと結婚とは、また別問題のような気はしますけど」
 「厳しいことを言うね」


 海里はハハッと笑い飛ばした。
 通りには先ほどよりたくさんの人が歩いており、狭い通路幅のため油断すると行き交う人と肩がぶつかりそうになる。


 「香奈、こっち」


 海里は人混みのわずかな隙間を縫いながら、香奈を庇うように歩く。途中、気になるお店を見つけては入り、ウインドウショッピングを楽しんだ。

 日は次第に傾き、夕暮れ時が迫るのを空の色で知る。
 あともう少ししたら日本に帰らなければならない。楽しい時間を過ごした反動で、寂しさが込み上げる。

 (もっと海里さんと一緒にいたかったな)

 そんな想いで横顔を見つめると、すぐに海里と目が合った。以心伝心みたいで気恥ずかしくなった瞬間、彼がふわりと笑う。
 海里は、香奈の鼓動を弾ませる天才だ。

 ふと通り沿いにあるコーヒーショップに目が留まる。日本にもあるチェーン店だ。
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