極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
「あそこで少し休憩しませんか?」
「そうだな。ちょうど喉が渇いたところだ」
香奈が指を差すと、海里は快く誘いに乗った。
カウンター越しにアイスコーヒーとアイスカフェラテを注文する。
「茶器のお礼にご馳走させてください」
値段のつり合いがとれないのは目を瞑ってもらおう。
(お財布、お財布……)
ところが香奈がバッグを漁って財布を出したときには、海里がカードで決済を完了していた。
「えっ」
スマートすぎて言葉も出ない。
「お礼なら、俺はこっちのほうがいい」
戸惑っているうちに、人目も憚らず唇が重なる。軽くリップ音を立てて離れた海里は、さらに香奈を引き寄せ髪にまでキスをした。
まるで相思相愛の恋人同士。そんな振る舞いに、昨夜から香奈は完全に翻弄されている。
少しずつ、一歩ずつ、海里との距離が縮まっているように思えた。