極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 「あそこで少し休憩しませんか?」
 「そうだな。ちょうど喉が渇いたところだ」


 香奈が指を差すと、海里は快く誘いに乗った。
 カウンター越しにアイスコーヒーとアイスカフェラテを注文する。


 「茶器のお礼にご馳走させてください」


 値段のつり合いがとれないのは目を瞑ってもらおう。

 (お財布、お財布……)

 ところが香奈がバッグを漁って財布を出したときには、海里がカードで決済を完了していた。


 「えっ」


 スマートすぎて言葉も出ない。


 「お礼なら、俺はこっちのほうがいい」


 戸惑っているうちに、人目も憚らず唇が重なる。軽くリップ音を立てて離れた海里は、さらに香奈を引き寄せ髪にまでキスをした。
 まるで相思相愛の恋人同士。そんな振る舞いに、昨夜から香奈は完全に翻弄されている。
 少しずつ、一歩ずつ、海里との距離が縮まっているように思えた。
< 202 / 292 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop