極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
結婚を実感できるもの


 香港への小旅行から四日後、海里たちは婚姻届を提出した。


 「私たち、夫婦になったんですね。なんだかまだ信じられない」


 区役所の駐車場で車に乗り込み、香奈がしみじみ呟く。
 実感が湧かないのは海里も同じ。区役所の職員から事務的に『おめでとうございます』と言われただけであり、ふたりの共同生活もはじまっていない。結婚の実態がないせいだろう。


 「それじゃ、信じられるようにしようか」


 首を傾げた香奈に海里が続ける。


 「結婚指輪を買いにいこう。婚約指輪もまだ渡してない。香奈の時間が許せばの話だけど」


 香奈は昼休みを兼ねて仕事を抜けている。先に昼食を一緒に食べたため、時間的にはすでに一時間ギリギリだ。


 「指輪……。そっか、そうですよね」
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