極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 ル・モナ、海里の父親がデザイナー兼社長を務めるブランドの本店である。


 「ここで買おうと思ってる。気に入らない?」
 「気に入らないなんて」


 香奈は首をふるふると横に振った。


 「いつか身に着けたい憧れのブランドだろう?」


 初めて会ったとき、香奈はそう言っていた。


 「それはそうなんですけど、いいのかな。この前も高い茶器を買ってもらったし」


 社長令嬢でありながら控えめなところは香奈の長所であり、海里も好きなところだが、今回は譲れない。


 「あれはあれ、これはこれ。どちらも世界にひとつしかない品だ」
 「……世界にひとつ?」
 「ああ」


 じつは今日は、ここを訪れようと最初から決めていた。昼休みが難しければ、仕事が終わってからでもよかった。
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