極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 そうこうしているうちに奥から父、正一が現れた。


 「香奈さん、よく来てくれたね」


 両腕を広げ、大股で海里たちのもとへやってくる。歓迎ムード満点だ。


 「お、お義父様、お久しぶりです」


 香奈は恐縮して急いで頭を下げた。
 まだ慣れない〝お義父様〟という言葉に、正一が眦を下げる。


 「私にもいよいよ娘ができるのか。いやぁ、感慨深いね」
 「父さん、婚姻届なら今出してきたところだ」
 「そうかそうか。では香奈さんは正真正銘、私の娘になったのだね」
 「至らない点も多々あると思いますが、どうぞよろしくお願いします」


 体を強張らせる香奈の肩をトントンと優しく叩く。こんなところでいきなり義理の父が現れれば無理もないだろう。彼女にとっては憧れのブランドのデザイナーでもある。


 「海里、準備ならできてるぞ」
 「ありがとう」
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