極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 婚約指輪と一緒に結婚指輪も受け取り、海里たちは店をあとにした。
 香奈の喜ぶ顔を見られた海里は、すこぶる気分がいい。
 婚姻届を出し、指輪も手に入れた。肝心の香奈の気持ちはまだ手中にしていないが、夫婦としてひとつずつ形になっていくのを実感していた。


 「早速、着けて仕事に戻る?」
 「いいですか?」
 「香奈さえよければ」


 彼女の意見を尊重しつつ、もしも断られたら、なにか理由をつけて指輪を嵌めようと考えていたが。薬指の空席を早く埋めたかった。
 綺麗にラッピングされたケースのリボンを解き、中から婚約指輪を取り出す。


 「手、貸して」
 「……なんか照れますね」


 恥ずかしそうに出した左手を取る。


 「もっとロマンティックな場所で渡すものなんだろうけど」
 「どこだってうれしいので」


 海里を気遣ったひと言だと頭でわかっていながら、指輪を待ち望んでいたのだと心は勝手に解釈する。
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