極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
婚約指輪を滑らせ、さらに結婚指輪も重ねた。
さすがル・モナのデザイナー。重ねづけしたときのことまで考えられたデザインだ。
「今度は海里さんの番。手、貸してください」
香奈に言われるままに手を出した。
ふたりきりの神聖な指輪交換が、海里の胸を震わせる。婚姻届を提出したときとは比べ物にならない。
(香奈は、もう俺だけのものだ。誰にも渡さない)
心で滾る想いを隠し、平静を装う。
「海里さんの言っていた通りですね」
「なにが?」
「指輪を嵌めたら結婚したんだって実感が湧いてきました」
照れくさそうに笑う香奈を見たら、抱きしめずにはいられなかった。
運転席から腕を伸ばし、香奈を引き寄せる。
「香奈、もう俺たちは夫婦だ」
「はい……」
「すぐにでも俺のマンションに越して来い」
「……わかりました。準備を進めますね」
耳元に香奈の吐息を感じ、理性がたやすくぐらつく。彼女を引きはがすまでにそれをなんとか抑え込み、軽く唇を重ねるだけに留めた。