極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
イヤリングのメッセージ
海里のマンションは、香奈の想像以上のものだった。
コンシェルジュ常駐のフロントや高いセキュリティは当然だし、豪華な造りもある程度予想していたが、それを遥かに超えるグレードだったのだ。
曲線を描いたダイナミックな外観は、ベージュの壁がエレガントさを醸し出す。
エントランスへ向かう壁や床には御影石、ラウンジには大理石、内廊下から部屋への共用部分にはタイルカーペットが用いられ、上質な空間を造り上げている。フロントの前には庭園が広がり、高級ホテルか美術館と見まがうほどである。
白を基調とした広いリビングやアースカラーでまとめられた寝室は余計な装飾がなく、シンプルさがかえって洗練された雰囲気が漂う。
引っ越し業者により荷物が運び込まれ――といっても洋服や小物類がほとんどではあるが――新しい部屋に着々と香奈のものが増えていく。
今日からここで、海里との新婚生活がはじまる。
そう思うと、少しの緊張とほどよいドキドキで背筋が伸びる思いがした。
荷物の片づけを終え、夕食を外でゆっくり済ませて帰宅する。リビングの隅には空になったダンボールが畳まれ、海里によってまとめられてあった。
「香奈、お疲れ様」
「海里さんもありがとうございます。忙しいのにすみませんでした」