極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 「謝られるのは不快だな。香奈ひとりじゃなく、ふたりの生活だろう」


 海里の気遣いのひとつだとわかっていても、〝ふたりの〟というのが胸をくすぐる。照れくささに俯くと、海里が微笑むのが視界の隅に映った。


 「お風呂ができてるから、先に入っておいで」


 (お、お風呂……!)

 いよいよ、そのときがやってくる。お風呂の先に当然ながら訪れる初夜を想像したら、急に落ち着かなくなった。


 「いえ、私はあとでいいので海里さんがお先にどうぞ」
 「香奈が先だ」
 「ダメダメ、海里さんから」


 埒のあかない押し問答をしていたが、結局「そこまで言うなら一緒に入ろう」と海里に言われ、「先に入ってきます!」と大慌てで踵を返した。

 (海里さんと一緒にお風呂なんて、絶対に無理……!)

 背後からクスクス笑う声が聞こえたが、急いでパジャマと下着を準備してバスルームの扉を閉めた。
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