極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 身を清めるつもりでいつも以上に念入りに体を洗い、心を落ち着かせるためにゆっくりバスタブに浸かる。

 (二十七歳にもなって処女だって知ったら幻滅するかな。いい歳して恋愛経験もないのかって、思いきり引かれるかな)

 この期に及んで、余計なことがあれこれ頭に浮かんでくる。心が落ち着くどころか、ドキドキハラハラする悪循環に陥った。
 彼の妻になったのだから、今さらジタバタしてもはじまらない。


 「頑張ろ」


 なにをどう頑張るのかわかっていないが、彼に身を任せて乗りきろうと決めた。
 パウダールームで髪の毛を乾かし、歯を磨いてから海里にバトンタッチ。香奈は寝室で待つことにした。


 「新しい下着にしたし、きっと大丈夫よね」


 声に出すことで自分を応援し、奮い立たせる。

 (こういうときって、ベッドに横になっていたほうがいいのかな。それとも座ってるほうがいい? さすがに立って待つのはおかしいでしょう?)
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