極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 (あぁ、海里さんはやっぱり私を抱けないって意味なのね)

 柚葉でなければダメなのだと言ったのだろう。


 「香奈、強引に進めて悪かった」


 そのひと言がすべてだと悟る。
 香奈との結婚をスピーディーに進めたが、やはり自分の気持ちには嘘をつけない。心には柚葉がいて、その領域は誰であろうと侵せないと痛感したに違いない。


 「ここに座って」


 海里は気遣うように香奈をベッドに座らせた。遠慮がちな手つきが歯がゆい。


 「俺はべつの部屋で寝るから、香奈はここで寝てくれ」
 「えっ……」


 自分から仕掛けたくせに、夫婦の寝室にひとり取り残されると知り動揺する。――それも大事な初夜に。

 海里は昔よくしてくれたように香奈の頭をポンポンと優しく撫で、寝室を出ていった。
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