極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 いきなり話題が変わったため聞き返す。


 「呼び方。名字じゃなく下の名前で」
 「じゃあ、海里さんと呼びますね。私も香奈でいいです。私のほうが年下なので、呼び捨てでも」
 「わかった。香奈って呼ぶよ」


 この場限りの呼び方を決める滑稽さを、不思議と微塵も感じない。たまたまここで会っただけ。さよならしたらそれで終わりだとわかっているのに。


 「海里さんって第一印象と全然違いますね」
 「最初の印象、そんなに悪かったか。まぁあんなふうに突っかかったらそうだよな」


 出会いの場面を思い出したのか、海里は髪をかき上げてバツが悪そうにした。


 「見た目はいいけど中身はちょっと……って思いました」


 そう言った直後、正直に言い過ぎたと気づき、

 「ごめんなさい、初対面なのにズケズケと」

 すぐに頭を下げる。気さくな人だから、香奈もついざっくばらんに話してしまった。
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