極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 翌朝、香奈がリビングへ行くと、テーブルの上に海里からのメモが残されていた。

 【急な仕事でアメリカへ行ってくる。ちゃんと食べて寝るように。サンドイッチを作ったから、よかったら食べてくれ】

 海里はすでに出かけていた。それも遠い場所に。

 (もしかしたら海里さんも気まずくてアメリカに行ったのかな……)

 そう勘繰るのも無理はないだろう。
 どんな顔で会えばいいかわからなかったためホッとした半面、しばらく会えない寂しさにも包まれた。

 ダイニングテーブルを見ると、メモ通りにサンドイッチが置かれている。
 初夜を敢行できなかった罪滅ぼしか。

 (ううん、違う。だって悪いのは私だもの。それに海里さんの気持ちを知った上で結婚を決めたんだから。あのくらい……)

 イヤリングなんてなんでもないと思いたいのに、割りきれない自分の心が恨めしい。

 パウダールームで顔をバシャバシャ洗い、タオルで拭う。鏡に映ったのは、目の下にクマを作ったひどい顔の自分だった。
< 230 / 292 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop