極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
「そういえば結婚式は? 準備とかはじまってるの?」
「あ……それはまだ」
そういえば、そういう話もしていないと気づいた。
婚姻届を出して引っ越しをするのに精いっぱい。結婚した事実だけに目がいっていたような気がする。
「……海里さんとなにかあった?」
「え?」
「初恋の人と結婚できてウキウキなはずでしょう? でもそうは見えないから」
深優が鋭いのか、それとも香奈が隠しきれていないのか。たぶんどちらもだ。
「おねえちゃん、大丈夫? 私でよければ聞くよ?」
優しい目と声で問いかけられ、ずっとひとりで抱え込んできたものを打ち明けたい気持ちが膨らんでくる。
これまで誰にも言えずにいたが、深優になら素直に話せる気がした。高校時代に相談に乗ってくれたのも彼女であり、誰より海里と香奈について知っているのも彼女だ。
「あのね……」