極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 香奈は、柚葉も含めて海里との間にあった出来事をひとつずつ話しはじめた。

 柚葉が図書館に現れ、ふたりは家の事情で結婚できずに別れたのだと聞かされたこと。彼女のイヤリングが寝室に落ちていたこと。それに動揺して初夜を台無しにしたことまで赤裸々に。
 話しているうちに続々と料理が届きはじめたが、深優は真剣な表情でずっと聞き入っていた。


 「柚葉さんから聞いた話は、海里さんにしてみた?」
 「ううん。柚葉さんに絶対言わないでってお願いされたし、私も聞く勇気がなくて」


 それをたしかめて、結婚がなくなるのが怖かった。


 「イヤリングも?」
 「今思えば、ちゃんと問い詰めればよかったとも思うけど、そのときはなにも聞けなかった」
 「私は海里さんとは一度しか会ってないし、どういう人なのかよく知らないけど、おねえちゃんとの結婚を決めたあとにべつの女性を部屋に招き入れるような人には見えないな。もちろん人は見た目だけじゃ計り知れないけどね」


 香奈も海里がそんなことをする人とは思っていない。たとえ心の中にまだ柚葉がいるとしても。頭ではそうわかっていても、イヤリングがその信頼を邪魔するのだ。
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