極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
それじゃ、あのイヤリングはどういう事情であそこに落ちていたのか。彼女があの部屋に入らない限り、そしてイヤリングが落ちるような行為をしない限り、あの状況にはならないから。
「一度ちゃんと聞いてみたほうがいいと思う。もしかしたら違う事実が隠れているかもしれないよ?」
「違う事実?」
「うん。だってね、お父さんたちに結婚しますって挨拶にきたときの海里さん、おねえちゃんのことをとっても大切に想っているように見えたもの。柚葉さんって人と駆け落ちまで考えていたようには思えないくらいに」
「そうかな……」
元気づけるために言っただけに過ぎないかもしれないが、そんな一面は香奈も感じるときが多々あった。もしかしたら好意を寄せてくれているのではないかと。
でもそのたびに柚葉の言葉が蘇り、打ち消しての繰り返し。柚葉の打ち明け話は、そのくらい強大な力があったのだ。
「一度ちゃんと海里さんと話してみて。おねえちゃんの気持ちもぶつけないと、このままダメになっちゃうよ」
「私の気持ちも……」
「そう。海里さんを好きだって言ってないんでしょう? なんのために言葉があるの? きちんと伝えなきゃ」