極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
「いや、いいよ。でも俺は相当心象が悪いみたいだ」
「最初だけです。すぐに謝ってくれましたし、これを一緒に探してくれましたから」
「挽回できてホッとした」
手のひらに乗せたイヤリングを見せながら言うと、海里は屈託のない笑みを浮かべた。
第一印象こそ悪かったが、誠実な人柄なのだろうと想像がつく。なによりも香奈の心を惹きつけたのは、父親の栄光にすがらず将来の目標をしっかり持っている点だ。香奈の周りにいる人たちとは違う。
「香奈は珍しいタイプだよな」
「そうですか?」
彼の顔を覗き込み、なにを言われるのかと身構える。
「お嬢様っぽくないところが特に」
「あぁそれ、よく言われます。おしとやかじゃないからかな」
「たしかに威勢はよかった」
「恥ずかしい……」
海里に言い返したときのことを思い返して赤面する。
あのときはイヤリングを失くした焦りもあったが、そんなに強い口調で言い返さなくてもよかったのにと後悔だ。