極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
「ここがなくなるなんて嫌です」
凪子に意見しても仕方ないが、つい力を込めた。
「私もよ、香奈ちゃん。でも誰にもどうすることもできなくてね」
(幼稚園に通っていた頃から親しんできた図書館が閉館するなんて……)
香奈は信じられない思いでいっぱいだ。
「ともかく今は静観するしかないみたい。私たちも今後の身の振り方を考えなきゃいけないのかもしれないわ」
凪子は香奈の肩をトンと叩き、寂しげな顔をしてカウンター業務に戻った。
ここには幼い頃から何度も通ってきた。海里と一緒に勉強した、思い出の場所でもある。
その大切な場所が窮地に立たされていると知ったのに、香奈にはなにもできないのがつらかった。