極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
仕事を終えて図書館の裏口から出る。想像以上の暑さで、全身の毛穴が一気に開いた。
午後六時だが、外はまだ真昼のように明るい。例年より早く梅雨が明けたと、今朝のニュースで言っていた。
涼しい図書館の中にいると暑さを忘れてしまうが、ねっとりとした空気が体じゅうにまとわりつき、夏の威力を思い知る。
日傘を差し、駅に向かうためにエントランスへ回ると、そこに真司がいた。
「よっ」
軽く右手を上げて挨拶をよこす。
「どうしたの?」
「いや、どうしてるかなと思って」
駆け寄った香奈に笑いかけ、
「ちょっとお茶してかない?」
真司は図書館の向かいにあるカフェを親指で差した。
「でも……」