極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 真司が差し出したペットボトルを受け取った。


 「なんかちょっと元気ない? もしかして八雲さんとうまくいってないとか?」
 「あ、ううん、そうじゃないよ。ちょっと仕事でね」


 顔を覗き込んできた真司に手をひらひらと振る。


 「失敗したとか?」
 「失敗はしてないから大丈夫」
 「そうか。……で、八雲さん、今は?」


 話が海里に舞い戻る。


 「アメリカに出張中」
 「へえ。相変わらず忙しそうだな。まだ一緒に暮らしてないんだっけ?」


 結婚は真司にメッセージで報告していたが、引っ越しはまだ伝えていなかった。


 「海里さんが出張する前に引っ越しは終わったよ」
 「そっか」


 ペットボトルのキャップを開けた真司に倣い、香奈も開けて口をつける。汗を掻いたペットボトルから雫が落ち、スカートに染みを作った。
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