極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
「海里さん、どうしてここに」
今日帰国するという連絡はもらっていない。
なにより、真司を見下ろす視線の鋭さに戸惑う。公園のベンチとはいえ、夫とはべつの男性とふたりでいる軽率さを怒っているのだとしたら、怒りを向けられるのは香奈のはずだ。
「香奈はもう俺の妻だ」
海里の宣言に鼓動が跳ねる。
(でもどうして今、そんなことを真司くんに言うの?)
意図が掴めず、海里を見上げる。
「九年前は退いたが、香奈は誰にも譲るつもりはない」
独占欲むき出しの言葉に当惑しながら、ある部分に引っ掛かった。
(九年前は退いた? それはどういう意味?)
わけがわからずにいる香奈の隣で、真司はそわそわと慌てだした。
「八雲さん、そんなつもりじゃ」