極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 「それじゃ、どういうつもりで香奈とふたりで? 昔の男が、いったいどんな用事で俺の妻に会うのか説明してくれ」
 「……昔の男って?」


 口を挟まずにはいられず、香奈は聞き返した。
 海里の言い方だと、真司が香奈の元彼のように聞こえる。


 「あ、あのっ、八雲さん、違うんです」


 尋常でない慌てぶりの真司と、目を瞬かせる香奈を交互に見て、海里は目を眇めた。


 「今、その話を香奈にしようと思っていて」
 「その話ってなに?」


 小首を傾げて真司を見る。香奈の頭の中は大混乱。なにがどうなっているのかわからない。


 「八雲さん、すみません!」


 真司はいちなり立ち上がり、腰を深く折った。心なしか膝が震えている。


 「あれは嘘なんです」
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