極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 「心配するな。いい意味でお嬢様っぽくないと言ってる」
 「そうなんですか?」
 「俺の周りにはいないタイプ」


 きっと海里の周りには、上品で綺麗な人ばかりがいるのだろう。それこそ〝社長令嬢〟という代名詞がぴったりの女性たちが。簡単に想像がつくのと同時に、なぜか落ち込む。


 「まだ高校生なのに自分の足でしっかり立とうとしてる、立派な女性だ。素敵だと思うよ」
 「えっ……」


 その言葉に特別な意味はない。社交辞令に毛が生えただけだとわかっているのに、男の人にそんなふうに褒められたことがないため鼓動は勝手に乱れる。
 たかが四歳差とはいえ、高校生と大学生とでは大きな違い。香奈からすれば大人の男性に認められたうれしさと気恥ずかしさがあり、顔が一気に熱を持った。ここへきて海里の容姿の良さが際立つのもいけない。


 「……ちょっと波打ち際に行ってきますね」


 そこから逃げるように立ち上がり、海に向かう。きっと彼は香奈がドキッとしたのを察しただろうと思うと、たまらなく恥ずかしい。
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