極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
頭を下げたまま呟いた声は、聞き取るのもやっとなほど小さい。
「……嘘?」
海里の眉間に深い皺が寄る。不快感丸出しの表情だ。
香奈は話が全然見えず、海里と真司を交互に見た。
「香奈と付き合うことになったっていうのは嘘だったんです」
「私と付き合うってなんのこと?」
「香奈、ごめん。八雲さんにチョコレートは渡してない」
「……え?」
頭の中が真っ白になる。真司の言葉をまったく理解できない。
(海里さんにチョコは渡してない……? それじゃ、海里さんが受け取らなかったっていうのは?)
信じられない思いで真司を見た。
それは海里も同じようで、怒りとも悲しみともつかない複雑な表情をしていた。
「岩井、お前にはすべてを話す義務がある」