極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
「それに、俺たちに責められることで自分の罪を軽くしようとするのは身勝手だ」
「……ですよね」
真司にも自覚があるのだろう。断罪されることで罰を受け、罪を軽くしたいと無意識に考えたに違いない。
「九年前はその噓を信じたが、今後いっさい香奈に手出しは許さない。俺のものだ。わかったな」
鋭利な刃物のように尖った声だった。冷ややかな眼差しには軽蔑も混じって見える。
海里は香奈を立ち上がらせ、「行こう」と手を取った。
強い想いがこもった海里の言葉を聞き、鼓動が乱れる。
「真司くん、私、幸せになるから」
イヤリングの件は未解決だが、しっかり話し合って自分の気持ちをちゃんと海里に伝えたい。
真司は力なく笑い、小さく頷いた。
九年前の真実が明らかにされ、海里の気持ちの断片を垣間見た香奈は、気もそぞろに彼の車の助手席に乗り込んだ。