極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 「前にも話したけど、私と海里くんは駆け落ちも考えた仲なの。だからやっぱり香奈ちゃんの入り込む余地はないわ」


 海里と香奈が腹を割って話せば、柚葉の嘘が明るみになるのは予想できそうなものだが、彼女はまだそうして絵空事を口にする。海里への盲目的な想いが、その目も心も曇らせるのか。

 でも香奈はもう、そんな作り話に怯まない。


 「反対している両親を説得して、必ず海里くんを幸せにするわ。だからお願い、彼と別れて」


 柚葉が別れを強要する。胸の前で両手を握りしめて懇願されるが、香奈も負けてはいられない。


 「私は海里さんと別れません」


 きっぱりと言い返す。


 「どうしてそんなことを言うの? もう私たち、離れ離れでいるのに耐えられないの。香奈ちゃんだって本当はわかっているでしょう? だからお願い」


 柚葉がそう訴えかけたそのとき――
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