極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです～私、振られたはずですよね？

　「誰と誰が、駆け落ちを考えた仲だって？」


　背後から低く冷ややかな声をかけられ、反射的に振り返る。


　「海里さん」
　「か、海里くん……！」


　香奈と柚葉の声が被った。


　「誰と誰が、離れ離れに耐えられないって？」


　香奈の隣に立った海里から、強烈な怒りが発せられるのを感じる。不機嫌なのを隠そうともしない、遠慮のない態度だった。


　「そ、それは」


　柚葉はあからさまに動揺を見せる。まさか海里本人がここへ現れるとは予想もしていなかったみたいだ。目はあちこちに泳ぎ、手を落ち着きなく何度も組み替える。


　「柚葉とそういう間柄になったことは一度もないというのは、俺の記憶違いか？　幼馴染以上の感情は抱いていないが、俺たちはいつの間にかそんな関係になっていたのか？」