極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
香奈が体勢を立てなおしているうちに海里はそれをすかさず拾い上げ、顔の前でぶら下げる。
「すみません。……でも、そうしたらまた海里さんに見つけてもらいます」
照れ隠しのために冗談めかした。
「次は捜索料をもらうぞ?」
「じゃあ出世払いで」
海里はクスッと笑いながら、手にしていたイヤリングを香奈の顔の前に突き出した。
「これ、つけようか?」
「えっ」
戸惑っているうちに彼が香奈に手を伸ばす。
不意に彼の指先が耳に触れ、肩がビクッと跳ねてしまった。不慣れな反応が情けない。
最初に声を掛けてきたときに尖っていた眼差しはすっかり影をひそめ、優しいものに変わっていた。
勝手にどぎまぎして、香奈は不自然に目を逸らして自分の足元に落とす。かといって足を見ているわけではなく、意識は彼の挙動に集中していた。