極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 美しい顔だからこその迫力につい怯みそうになったが、心を強く持ってこらえる。


 「それなのに今度は香奈ちゃんと結婚するなんて言うんだもの。私がどれだけショックだったか……!」
 「俺は柚葉を幼馴染としてしか見たことはない。勝手にひとりで盛り上がり、好意を押しつけるなんて身勝手もいいところだ」


 海里は冷ややかな目をして柚葉を見下ろす。そこにはもはや幼馴染への配慮もないように思えた。


 「そんな……」
 「言い訳などどうでもいい。聞きたいのは謝罪だ。初夜に自分のものではないイヤリングが落ちていたことに香奈がどれだけ傷ついたか、同じ女性なら簡単に想像できるはずだ」


 柚葉は肩を震わせ、みるみるうちに目に涙がたまっていく。


 「海里さん、もうその辺で……」


 香奈は思わず海里の腕を掴んだ。たぶん柚葉も、どうにもならないのが身に染みたはずだ。
 海里が香奈の手に自分のそれを重ねる。わかったと言っている気がした。
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