極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 そこがなくなるなんて考えたくなかった。


 『香奈は香奈らしく、今のままでいれば大丈夫だ』


 海里はそう言って応援してくれるが、彼にしては今ひとつ説得力に欠ける言葉に、香奈は曖昧に頷くしかなかった。

 お昼休みに館内のカフェへ向かうと、窓際のテーブルに凪子の姿を見つけた。


 「ここいいですか?」
 「もちろん。どうぞ」


 香奈が声をかけると、凪子は手で向かいの席を指した。
 水を運んできた店員にサーモンのオープンサンドプレートを注文し、ふと凪子の手元を見る。


 「お出かけするんですか?」


 どこかのリゾート地だろうか。テーブルにパンフレットが広げられている。


 「そうなの。年末年始のお休みにちょっとね。暗い気分を払しょくしたくて」
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