極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
凪子も図書館の閉館に心を痛めているひとりだ。
その話が出てからというもの、館内はどことなく活気がない。これまで頻繁にあった企画は少なくなり、職員たちも一様に沈んだ表情なのだ。
そんなムードを打破しようと香奈はいろいろと提案するが、どれも実現には至っていない。
でもだからと言って手をこまねいて見ていたくはない。香奈は最後まで諦めずに言の葉ライブラリーを盛り上げようと考えていた。
「それもいいかもしれませんね」
何気なくパンフレットを見ると、見覚えのある写真が掲載されていた。
白い砂浜が続くプライベートビーチ、パームツリーやブーゲンビリア、ビーチパラソルの色。どれもこれも香奈が知っている景色――あのリゾートだ。
「そこ、とっても素敵ですよね」
「あら、香奈ちゃん、行ったことがあるの?」
パンフレットから顔を上げ、凪子が目を丸くする。
「はい。じつは夫と出会った場所なんです」
「こんなところで出会うなんてロマンティックね~。それじゃ、私にも素敵な出会いがあるかしら」
両手を胸の前で組んで揺らし、うっとりするようにしてから、テーブルに身を乗り出す。