極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
いわゆる教壇の位置に立ち、飯田が話しだした。
「言の葉ライブラリーの行く末について、皆さんには心配をおかけして申し訳ありません。この場を借りて、お詫びします。ええとですね……」
そこで言い淀む飯田を見て、職員の誰もが〝やっぱり閉館だ〟と察したそのとき、飯田の顔がぱあっと光を灯したように明るくなる。
「じつは業務移管を引き受けてくださるところが見つかったんです」
そこまで早口で言いきった飯田は、自分に向けて大きな拍手をした。
一瞬ぽかんとし、遅れをとった職員たちがいっせいに声を上げる。
「ええっ、本当ですか!?」
「すごい! やったー!」
驚きと安堵のあまり、香奈はひと言も発せられない。まだ閉館が決まったわけじゃないと自分に言い聞かせていたのは強がりだったのだ。
「よかったわね、香奈ちゃん」