極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです～私、振られたはずですよね？

　隣に座る凪子に言われ、そこでようやく「はい！」と返事ができた。

　職員たちのそんな様子を微笑ましい顔をして見守っていた飯田は、「まあまあ」と両手で宥め、静かになったところで続ける。


　「ええ、そこでですね、皆さんにご紹介したい方がいます。この言の葉ライブラリーの新しいオーナーです」


　飯田はそう言ってドアに向かって目配せをした。その向こうに新オーナーが控えているようだ。

　みんなの視線が一点に集中する中、ドアが開く。
　一歩、また一歩とゆっくり足を進めて入ってきた人物を見て、香奈は呆けたように口を半開きにした。


　「香奈ちゃん、どういうこと!?」


　隣の凪子が目を丸くして香奈の肩を揺する。


　「……私もなにがなんだかわからなくて」


　飯田に促されて颯爽と現れたのは、海里だったのだ。
　すぐに香奈を見つけ、軽く目を細めて微笑む。