極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 (言の葉ライブラリーの移管先が海里さんの会社なの?)

 職員の女性たちがにわかに色めき立つ。みんなに結婚の報告はしていたが、相手を知っているのは凪子だけ。この分だと香奈の夫がどういう人物か、館長も今日知ったに違いない。

 海里は、館長が退いた場に立ってみんなを見渡した。


 「初めまして、八雲ホールディングスの八雲です。本日はお時間を取ってくださりありがとうございます」


 彼の名乗りを聞き、職員たちが口々にひそひそと騒ぎはじめる。


 「香奈ちゃんも八雲よね?」
 「ただの偶然?」
 「えっ、香奈ちゃんの旦那さまって、あの八雲ホールディングスの人なの?」
 「だけど香奈ちゃんもオトワ飲料の社長令嬢だものね。あり得ない組み合わせじゃないでしょ」


 視線の集中砲火を浴び、香奈は顔を上げられなくなる。
 海里はざわめきを気にせず先を続けた。
< 280 / 292 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop