極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 その日、帰宅した香奈は海里の帰宅を待ちわびていた。

 図書館にセンセーショナルに現れた彼は、あのあと仕事があるとすぐに会社に戻ったため、香奈はまだ直接話をしていない。
 海里が去ると香奈は職員たちから質問攻めにあい、その様子は有名人の囲み取材さながらだった。

 〝ロマンティックな出会いだったそうですね〟
 〝どちらから告白したんですか?〟
 〝プロポーズの言葉は?〟

 顔を真っ赤にしながらどれも真面目に答える香奈に、『貴重な疑似体験でしょう?』と凪子は手でマイクを持つ真似をしてリポーターを気取っていた。


 「海里さん、そろそろかな……」


 今日は家事代行サービスが入ったため、ダイニングテーブルには栄養バランスの整った料理が準備万端、並んでいる。


 靴を脱いだ彼の前で立ち止まったが、勢いあまって抱きつく格好になってしまった。
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