極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです～私、振られたはずですよね？

　「おっと、大丈夫？」


　海里は咄嗟に抱き留め、香奈を支える。


　「ずいぶんと熱烈な出迎えだ」
　「ごめんなさい。それより言の葉ライブラリーのこと、どうして黙っていたんですか？」


　くすっと笑った彼に、体勢を整えつつ質問をぶつけた。
　決して怒っているのではない。とにかくびっくりしたことをわかってほしかった。


　「あの場で発表したほうが、インパクトがあるだろう？」


　海里が得意げに笑う。手柄を立てた子どもみたいに無邪気な笑顔だ。
　それが狙いだとしたら大成功といっていい。あそこに海里が登場するなんて一ミリも考えなかった。


　「心臓に悪すぎます」
　「それは悪かった」


　ポンポンと頭を撫で、目を細める。悪かったというよりは香奈の反応を喜んでいる顔だ。思いどおりに驚かせられたと。