極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
「海里さん、ありがとう。もうあそこでは働けなくなるかもしれないって思っていたからうれしい」
企業だけでなく都や区にも働きかけたものの難航していると聞いていたため、きっと大丈夫と思ういっぽうで閉館の知らせも半分覚悟していた。
海里が手をあげるなんて発想は、まったくなかったから。
どことなく呑気に『香奈は香奈らしくいればいい』と言っていた理由が、種明かしをされてようやくわかった。
「それと、あの島」
「島?」
「私たちが出会った場所です。海里さんの会社が買っていたなんて知らなくてびっくりしたんですから」
「ああ、あそこね」
香奈の興奮とは対照的に海里は余裕綽々。優雅に頷きながら香奈をリビングへ誘う。
ジャケットを脱いでダイニングチェアに掛け、ソファに腰を下ろした。隣のスペースをトントンと手で優しく叩いて香奈を呼ぶ。
「今日、職場の先輩が見ていたパンフレットで気づいたの」
「そうか」
「そうかじゃなくて、〝ここ、俺の島〟って得意満面に言ってもいいのに」