極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
億単位のお金が動いたに違いないのに、洋服や靴でも買うみたいにまるでなんてことのない表情だ。
「俺は控えめなタイプだって知らなかった?」
「知りませんでした」
いたずらっぽい笑みを浮かべる海里に笑って返す。
「じゃあ覚えておいて。俺は大切なものを守るために人知れず動く男だって」
「大切なもの?」
首を傾げて問い返すと、海里は香奈の両肩をそっと掴んで自分のほうへ向かせた。
「香奈と出会った島も一緒に過ごした言の葉ライブラリーも、香奈との大切な思い出の場所。だから失くしたくなかった」
図書館はまだしも、島の再建は香奈と再会する何年も前の話だ。もう二度と会わないかもしれない香奈との思い出を守るためだけに、海里はあの場所を手に入れていた。
そんな事実がじわじわと香奈の胸を高鳴らせていく。