極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
「……海里さん、ずるい」
「ずるい? それは心外だな」
「カッコよすぎてずるいんです」
不満そうに眉根を寄せた海里に強く訴えると、彼はふっと鼻から息を漏らして笑う。
「じゃあ褒め言葉ととっておこう」
香奈の額に唇を軽く押しあてた。
「俺はこれからも、香奈との思い出は大切にしていくつもりだ。花文字や茶器を買った香港の店だって同じ」
リビングにはふたりの名前を書いた花文字が、大きな写真立てに飾られている。海里に買ってもらった中国茶器は、ふたりのティータイムには欠かせない。
お互いの気持ちが読めなくて悩んだり迷ったりした日々のなか買ったものは、香奈にとっても思い出深い大切なものだ。
もしもその店が閉店の危機に晒されれば、海里は躊躇いもせず支援の手を差し出すだろう。
改めて海里の大きく深い愛を感じて心が震える。彼を見つめる瞳が揺れるのを止められない。