極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 「海里くん、こんなところにいたの」


 ブーゲンビリアの向こうからすらっとしたスタイルの女性が現れ、あっという間に香奈たちの場所まで来た。

 月明かりが、垂れ気味の優しげな目元の美人を映しだす。風になびくストレートロングの黒髪を片手で押さえながら、視線が海里から香奈に移った。
 誰?と、桜の花びらのような薄い色味をした小さな唇が動く。答えを求めて海里を見た。

 (恋人、なのかな……)

 ふたりを見比べながら会釈を返す。
 このパーティーに参加しているということは、彼女もどこかの令嬢だろう。海里の隣に立っても決して負けない品がある。


 「彼女が落とし物をして、一緒に探してた」
 「そう。……なかなか戻らないからどうしたのかと思って」


 静かな目をして香奈を見たあと、海里に向かって笑いかける。探るような空気を彼女から感じた。


 「悪い。ちょっと話し込んでたから」
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