極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 娘に諫められてもなんのその。邦夫は社交的な性質で、昔から人がたくさん集まる場を好む。ホームパーティーが趣味で、家を建てるときにもそのためのスペースを第一に考えたほどである。


 「大勢の人たちが集まるから、きっと香奈にも」


 邦夫は歯を見せて笑いながら窓の下を覗きつつ、不自然に言葉を止めた。


 「……私にも、なに?」
 「ああ、いや、香奈も楽しめるはずだよ」


 その先を尋ねると、邦夫はちらっと香奈を横目で見てから微妙に言い回しを変える。はぐらかしたようにも聞こえた。

 (なんだろう。変なの)

 今夜、この島では日本の各界を代表する人たちを集めたパーティーが開かれる。
 日本最大手と名高い飲料メーカーの社長である父、邦夫もそのひとり。香奈はそういった場は苦手だが、同伴者という役回りで半ば強引に連れてこられた。

 母は友人の息子さんの結婚式があるため都合がつかず、ひとつ年下の妹には外せない約束があると上手に逃げられたためである。
 唯一、時間のとれる香奈にそのお鉢が回ってきたわけだ。
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