極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
「まぁ、いいの? 助かるわ。これと同じものなの」
女性は残っている右耳のイヤリングを指差した。花をあしらったダイヤモンドの上品なイヤリングだ。
「わかりました」
女性が歩いてきた道筋を尋ね、その場所を辿っていく。昔、香奈が落としたイヤリングより小ぶりだから、よく目を凝らさないと見落とすかもしれない。
香奈は腰を屈め、注意深く探した。あのときもこうしてあちこち駆けずり回ったなと思い出しながら。
そうして五分ほど経った頃だろうか。建物近くの大きな敷石の上で、外灯に反射してキラリと光るものがあった。
(あっ、あれかな)
数歩駆け寄って拾い上げる。これだ。
「ありました!」
植込みのほうに向かって声を張り上げると、女性はドレスの裾を揺らして大急ぎでやってきた。
「これでしょうか」
「そう! これよこれ! あぁ、よかったわ。結婚記念日に夫からプレゼントされたものなの」